CAM とは

Fundamental

CAM (キャム)とは

 「Computer-aided manufacturing」を略した言葉で、和訳すると、「コンピュータ支援製造」になります。

unimoni
unimoni

CAD(Computer Aided Design)システムと組み合わせて使うことが多いので、

「CAD/CAM(キャド・キャム)」とセットで呼ばれることも。

CAM 自体はソフトウェアで、使い方はメーカーによってさまざまで詳細な使用方法なんかはヘルプセンターを見てもらえればと思いますので、
このサイトでは、CAM 扱うためのコアになる考え方についての情報を発信していこうと思います。

CAM の用途

コンピューターで製造を支援するシステムという事ですが、主にCNC工作機械(Computerized Numerical Control)を制御する「NCプログラム 」を作成する目的で使用されるケースが大半だと思います。

CNC 加工機はプログラムを使って動作を制御できる加工機です。

カッターと呼ばれる工具を取り付けたヘッドを回転させ、
コンピューター制御を使って移動させながら、鉄などを切削します。

工作機械メーカーや、製品のグレードによりますが1000分の1ミリ以上の細かさで動かすことができる為、超絶精密な加工ができます。
金属加工が可能で、金型や部品加工の分野で盛んに使用されています。(と思います。)

加工機の種類

加工機にもいろいろと種類があります。
手動で動かすものが基本で、NC で制御するタイプはその進化系です。

ボール盤

穴あけ専用の加工機で手動で動かします。
他にも手動で使う加工機として、切断専用とか、研削専用とか、他にもいろいろあります。

旋盤加工機

材料を回転させながら、カッターをあてて加工します。
円筒形状のものを加工するのが得意です。

ネジなんかも旋盤で切れます。

汎用フライス盤

X、Y、Z方向に回転する工具を動かして加工ができる機械です。

ハンドルを動かして、加工をします。

CNC(NC)加工機

フライスをコンピューター制御で動くようにした加工機です。

CAM で作成したデータは主にこの機械で使われます。

3軸(X、Y、Z)方向に動く加工機が一般的ですが、テーブルやヘッドが動く「5軸加工機」や、旋盤とフライスの良いとこ取りをした「複合旋盤」というものもあります。

5軸や、複合旋盤のCAM は3軸に比べると制御する軸が増える為、難易度が上がります。

また、機械が高価です。
動きが複雑なため予期しない干渉が発生して、ヘッドや機構が破損した場合の修理にかかる金額も別格です。

干渉チェック用に高額なソフトウェアを導入しても十分な見返りがえられるくらいです。

放電加工機

形状電極、ワイヤー放電などがあります。

加工対象と電極の間で放電をさせて対象を溶かして加工する方法です。

加工対象の素材を絶縁効果のある液体に浸し、電極と呼ばれる通電性の素材に電気を流しながら近づけます。電極が素材に近づくと絶縁効果が消え電気がながれ、素材を崩して行く、というのが主な仕組みで、形状を持った電極を使えばその形状を素材に転写できます。

また、糸のような素材をつかえば鉄を自在に切断することができます。
この機械を「ワイヤー放電加工機」と呼びます。

NC(数値制御)プログラムの概要

NC 加工機には、カッターと呼ばれる工具がモーターに取り付けられていて、これを高速で回転させながら金属などを加工します。

数値制御する場合はこの工具の中心点をXYZの座標値で指定した場所に動かします。
この時、XYZ の座標系は任意の点をゼロ点としてして指定できるようになっているのが一般的です。

下記のようなイメージでXYZ 点を指定して工具を動かし、加工をします。
※実際にはこの座標値に工具の大きさを考慮した値を指定します。

実際の加工プログラムの経路。
輪郭を加工するデータの場合、工具の半径分を外側にズラす。

CAM の目的

上記のNC データを作成するための座標を計算することがCAM 作業の目的になります。

厳密にはNC データに変換される前段階のツールパス(工具の経路)データまでを作成しています。経路データ作成後、ポストプロセッサがツールパスデータをNC データに変換しています。

単純な2D の加工なら、手作業で座標入力して作れなくないですが、3D データは普通の人間では無理です。3D 加工する場合も、工具の先端中心をXYZ 座標で指定するのですが、加工面に接した状態のする工具の位置が単純にオフセットではなく、面の向きを考慮したものになるので、これをいちいち計算していたら全く作業が進みません。

2D の場合は工具中心は半径と同じオフセットでオッケーですが、
3D 加工の場合は接触が単純ではないので、計算が難しい。

また、2D 加工もCAM を使って作った方が効率が良いので、CAM が一般的な現在では2D、3D 関係なくCAM を使用します。

NC データのジャンル、分類

NC データを自体はJIS 規格でルールが決まっています。
メーカーごとに工作機械に合わせてカスタムしているので、FANUC とかオークマ、マザック等の呼び方があり、分類されます。

以下は、そういったコントローラーの分類ではなくて、もっと大枠の「ジャンル」を紹介したいと思います。

2D

2D、3D とよく言いますが、Dはディメンション(次元)を指します。
NC データ加工で2D という場合、主にXY を指定した動きのプログラムを指します。

Z方向も指定して高さ、深さの要素も指定する場合、2.5D 加工になります。

ちなみに1方向にしか動かないものを1D とは言いません。

3D

XYZ の方向に同時に動くプログラム指します。
内容が2.5D か3D かまで厳密には区別しておらず、3D CAM で作ったデータ全般を指しているように思います。

部品加工などは主に2.5D 加工です。
金型の形状部分の加工は主に3D 加工です。

加工するもののサイズによって加工機のサイズも様々です。

テーブルの上に載せて使う卓上NC 加工機もあれば、家の様なサイズの機械まであります。
車のバンパーの金型を削るようなデカい機械です。

5軸

5D とか、5次元とか言わないですね。5軸です。
まあ、次元ではないですからね。

XYZ 方向に加工する材料、もしくは工具を取り付けているヘッドを傾けて加工します。
傾きはA、B 軸として、角度で指定します。

以前は高価な機械だったので、導入数が少なかったように思いますが、最近は5軸加工機入れるんですよという話もよく聞くようななった印象です。

壊すと修理が大変なので、余り関わりたくないです。

この辺の動画を見てもらうとわかりやすかなと思います。

 旋盤

フライスが工具を回転させて加工するのに対して、材料側を回転させて加工します。
材料の回転と、工具の動きは同期させられまます。(1回転毎に1ミリ移動の様な動き)
なので、ネジの溝を作ったりすることもできます。

材料を回転させるので、削るものは基本的に円柱型になります。

 ワイヤー放電

電気を流したワイヤーで鉄を切断するという、格好イイ加工機です。
データとしては2D 加工のデータを同じです。

ワイヤーをつまむ箇所は2か所あり、それぞれ別々の座標系で制御できる場合、4軸ワイヤー放電加工機と呼びます。

 ロボット

アーム型の汎用ロボットなんかも座標値をもとに各軸の角度指定で動いていますので、NC データみたいなもので動かせるらしい^^;

ロボットの場合は、位置を教えるという意味で「ティーチング」と呼ぶみたいですね。

大半は手作業で動かして、ポイントを記憶させていていくみたいですが、座標系と先端の向きが分かれば必要な数値が計算できるので、CAM を使ってティーチングすることも可能。という事でここに加えてみました。

ポスト開発すれば、CAM でもデータつくれるよねって事で。

具体的な CAM 製品

「主なCAM 製品」みたいな感じで具体例を紹介したいのですが、正直商品が沢山ありすぎます。

工作機械は2軸方向(XY座標で制御)に動くもの、旋盤(回転とXY)、3軸方向(XYZ座標で制御)に動くもの、ワイヤー放電加工機(XY方向プラス角度)、5軸方向(3軸加工にプラスしてテーブルが傾く)があり、業界によって精度や特性が違うので使われるCAMも様々です。工作機械に専用のCAM が付属しているケースもあり、一概に「主な」などでまとめられません。

という事で、私が関わってきたCAM を挙げていこうと思います。

Space-E

Space-E | ソリューション | 株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ
NTTデータエンジニアリングシステムズのSpace-Eは、金型設計・製造に最適な3D環境を実現するCAD/CAM/CAE一体型システムです。

CAD/CAM 機能を持ったハイエンドCADです。
当時「日立造船」から発売されていました。

現在はNTT データエンジニアリングシステムズ で扱っているようです。

主にモデリング機能を使ってましたが、CAM 機能も使っていました。

シリコングラフィックス社の「Grade」というUNIX 系のCADが、パソコンに移植されたものです。
当時はCAD/CAMシステムがスポーツカー並みに高かった時代です。

発売当初はいろいろと問題がありましたが、それを払拭するだけのパワーがありました。
CAD の真価は使いやすさではなく、何ができるかです。やりたいことができないと、どれだけ使いやすくても仕事は終わらないのです。

「ハミングバード」っていう、ライセンス認証を使っていたころがあまりよくなくて、それをやめたあたりから安定してきて、使いやすくなったと記憶しています。

Surfcam

オールパーパス3D-CAMソフトウェア SURFCAM
「SURFCAM」は加工現場におけるCAD/CAM運用を目的に、使いやすさを追求しあらゆる加工に対応する豊富なCAM機能を搭載した対話型の三次元CAD/CAMシステムです。2軸から同時5軸、複合旋盤加工まで対応することが可能です。

これもCAD/CAM 機能を持ったシステムです。僕が使っていたころは「ミッドレンジ」の位置づけでした。現在はどうなんでしょうね。

マイファースト3D CAD で使いやすかったことを覚えています。一年くらい使いましたね。
そのあとSPACE-E になりました。

中間ファイル(IGES、STEP)の変換が良かったので、SPACE-E に代わってからも、変換の仲介によく使っていました。SURFCAM の変換を通すと、不思議とエラーが減ったんですよね。

WorkNC

インテリジェント3Dマシニングエンジン WORKNC
「WORKNC」は金型形状、試作向けに特化した自動化指向型の三次元CAMモジュールです。30年以上に渡る豊富な導入実績に裏付けられたパワフルなCAMエンジンを搭載し、小物から大物形状まで安定したツールパスを高速に計算します。

CAD機能もありましたが、当時はオマケ程度のものでした。CAMの計算が速く、使いやすい設計のCAMでした。

マイファーストCAM で、いろいろ思い入れのあるCAMです。

経路データの編集機能がすごく使いやすかったです。

masterCAM

Mastercam | Mastercam - 世界No.1インストール数を誇る3D CAD/CAMシステム
ゼネテックは日本初のMastercam(マスターキャム)正規代理店です。 | Mastercam |

何かと私がライバル視していたCAMです。あとHyperMILL なんかもありましたね。
当時(私の周辺では、)WorkNC と覇権を争ってました。

代理店さんの動画サイトが勉強になりますよ。

ジェービーエムエンジニアリング株式会社
ジェービーエムエンジニアリング製品動画や、新機能紹介、セミナー動画、ユーザー事例をご紹介しております。

Creo

Access Denied

Pro/Engineer の名前でも知られる、ハイエンドCADです。オプションが多彩でCAMのオプションも備えています。
現在のメインCAD/CAM です。

2軸加工から5軸加工まで製品があります。2軸~2.5軸はCAD の標準機能としてついています。
もう1つ上位のグレードを買うと、3D 加工ができるようになり、さらにその上のグレードだとさらにプラスで旋盤、ワイヤー放電用のCAM が使えます。

CAM のオプションだけ買うこともできます。
ただし、CAD のオプションとして起動するので、使うにはCAD の基本ライセンスが必要です。

このCAM の特徴的なところは、開発元のPTCによる買収や提携により、
複数の種類の計算エンジンを搭載しているところです。

また、切削シミュレーションとして、モジュールワークスが使用されています。
(以前はバンドル版VERICUT でした。)


まとめ

いかがでしたでしょうか。

CAM とはという事で、いろいろと知っていることを書いてみました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました